第2回 戦略的パートナーシップの構築へ ーアメリカとアンゴラ、クリントン国務長官も訪問ー アンゴラ・ルアンダ発 菊地隆男・奈緒美

08182009 hillary ze du

2009年8月、アンゴラの首都ルアンダを初訪問、
ドス・サントン大統領と会談するヒラリー・クリントン国務長官

 

「アンゴラ」という国をご存知でしょうか。近年、成長著しい南部アフリカの中でも、石油輸出をテコに躍進の目立つ人口1,800万人の国です。27年間も続いた内戦が2002年に終わった後、経済安定化と民主化が進み、石油輸出の拡大により、経済成長を続けています。一人当たり国民所得は、中国を上回るUSD3,447(世銀、2009年)に達しています。

●クリントン国務長官も初訪問

 アメリカのアンゴラへのアプローチも、例外ではなく、米国外交は、昨年来もっとも目立つものとなっています。 2009年5月の二国間貿易投資枠組み合意に続き、8月には、ヒラリー・クリントン国務長官がアンゴラを訪問しました。もちろんアメリカの国務長官の訪問も初めてのことです。コンゴ(民)や南アフリカなど、アフリカ7カ国歴訪の一環であったとはいえ、その意義は無視できないものがあります。

●「列強」を操る巧みな外交

 アンゴラが内戦終結8年目で、アメリカとの間で米中関係と同じ「戦略パートナーシップ」の立場を勝ち得たのは、もちろん東西冷戦崩壊後の新たな資源獲得競争という国際環境の変化と無縁ではありません。しかし、同時にこの新しい世界の潮流に乗り、アメリカとの関係のみならず、ー 旧植民地としてアフリカに対して低コストでの利権維持への転換を図るEU、投資・貿易・外交で際立つ存在感を示す中国、そして近い将来世界一となる人口を維持するための食糧、エネルギーの確保を狙うインド ー といった二国間関係やOPEC やIMFなどの多国間関係を巧みに操る、ドス・サントス大統領のもとでのアンゴラ指導部の力量も、評価に値するのではないでしょうか。

© Fumio Matsuo 2012